10000Hit記念フリーSSです。
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誘 惑 の こ い び と 2
「あ…あの…」
部屋に連れ込まれるなり、衣服を脱がしにかかった薫の手を掴んだ。
「?どうしたの…?」
「や…あの…」
まさか、今更恥ずかしくなったとは言えず俺は黙ったまま俯いた。
「したく、ないの…?」
少し寂しそうに呟く声に弾かれたように顔を上げると、至近距離で薫と目が合った。
「…っわ…」
慌てて身を引こうとしたが一瞬素早く薫の手が背中に回されて捕らえられてしまう。
「ねぇ…。ボク、嬉しかったよ」
「妬いてくれて」と耳元で吐息混じりに囁かれて、ぞくり。と身体が震える。
次第に近づいてくる眸から逸らすことができない。
長い睫がゆっくりと下がりその綺麗な眸が閉じらる。
「ん…っ」
甘く、口づけられてくらくら。眩暈がしそうだった。
感情を隠そうともしない素直なキス。
言葉にしなくともダイレクトに「好き」と伝わる薫のキスの嵐に胸がざわつく。
この感覚。
ああ、これは優越感だ。
これ、は俺だけに向けられた特別なもの。
あの女達がー俺以外ー誰が望んでも手に入らないもの。
それを俺が手に入れている。
「ん…は、ッ…かおる…」
いつの間にか引き剥がされて投げ出された互いの衣服が、乱れ縺れているのが目の端に写る。
浅ましい。
抱き合って、求め合って、全てを奪い合って。
まるで、盛りのついた獣のような醜さだ。
でも、今はただ、この温もりを、独占欲を、感じたかった。
指で解されたそこはもう耐えようのない快楽に流されていて、早く彼が欲しいと身体が勝手に震える。
「いい…?」
優しく髪を撫でられて、綺麗な顔で見つめられて、訊ねるのは卑怯だ。
答えなんて解っているのに、必ず確認してくるのは薫が俺に優しいからじゃなくて、薫も確認したいからだと思う。
俺も薫が欲しいってこと。
俺も薫を、求めてるってこと。
それは薫なりの独占欲って思っていいんだよな?
頷くと、安心したように微笑んで、それがゆっくりと進入してくる。
「…っ…っく…」
指とは比べもにならない質量に息が詰まりそうになる。
何度経験を積んでもこの瞬間だけは苦痛だった。
けど、薫だから。
薫が喜んでくれるから、どんなことでも受け入れられる。
好きだと言ってくれるから。
「は…ッ…」
「亮、平気?」
労わるように口づけてくる薫をそっと抱きとめ頷く。
緩慢に動き出すそれに息が乱れ、少しずつ取り戻す快感に溺れてゆく。
「りょう…っすき……すき…だよ」
狂ったように何度も何度も愛の言葉を繰り返し、思う様突き上げられて、羞恥なんてとうになくなっていた。
ただ、流されるままに腰を揺らして薫に縋りつく。
「か…おる…っと…も…っとぉ…っ…」
『本当に依存しているのはどっちなんだろうな』
熱に浮かされた頭に浮かんでは消える疑惑。
「っや…は…んんッ!!」
指が絡み合い、さらに深く繋がる感覚に限界が近づく。
「かおる…すき…っすき…」
それに答えるように前立腺を突かれて、さらに甲高い声が出る。
綺麗な薫の顔が険しくなり、彼も限界が近いのだと悟った。
『俺? お前? それとも…』
腰を掴まれ、激しく打ち付けられて、揺さぶられて、頭が真っ白になる。
そして……。
「ん…あ…ッい…く…」
「りょう…りょう…ッ」
達したのはほぼ同時だった。
荒い息が部屋に響く中、薫は愛しそうに俺を抱きしめた。
そしてまた、うわ言のように愛の言葉を囁く。
愛してる。
愛している。と。
ああ。
俺は今どんな顔をしているだろう。
どんなふうに見られているだろう。
「りょう……亮は…?ボクのこと、愛してる?」
そんなの、もう訊かなくても解っているはずなのに。
それでも、薫は確認したいんだ。
俺が、薫を愛しているのかどうか。
なら教えてやるよ。
俺は。
お前のこと。
「 」
って。
FIN
あんまりEROではなくなってしまいました(泣)
がここはひとつEROとして見てやって下さい!!
2007.5.4 UP