リアルのお話です。薫×亮。
秋 の 夕 暮 れ
風が凪いだ。
物悲しい鳴き声が風と共に舞う。
いつもの時間。
いつもの場所。
三崎亮は土手の斜面に座り込み、風に髪を靡かせていた。
片手には読みかけの文庫本。
もう片方の手は雑草を撫でていた。
その傍らには投げ出された鞄。
夕陽に煌く川面。
ふと時計を見ると短針は6時を指していた。
秋の夕暮れ。
少し肌寒くなってきた時間帯。
亮は身震いをした。
東の空は夜の闇に包まれ、人通りも絶えてゆく。
急に背中が温もりに包まれる。
「待った?」
優しく囁く声。
亮の待ち人。
一ノ瀬薫。
「そんな薄着だと風邪引いちゃうよ」
頬にキスをして薫は体を離し、自分のジャケットを脱いで亮に羽織らせた。
「いいよ。お前の方が風邪引く」
そう断る彼に薫はにっこり笑ってジャケットごと亮を抱きしめた。
「駄目だよ。ベスト1枚きりなんて」
「…かおる……」
風が舞う度香りたつ彼の匂い。
亮はそっと目を閉じて、その温もりに。匂いに。身を任せた。
風が凪いだ。
亮は薫の存在を確かめるように。
秋の夕暮れ。
薫は亮の存在を確かめるように。
物悲しい鳴き声が風と共に舞う。
互いが互いに存在を確かめ合うように。
いつもの時間。
相手がそこに生きている。
いつもの場所。
何度も。何度でも。
東の空は夜の闇に包まれ、人通りも絶えてゆく。
暗闇に人影が2つ。いつまでも重なり合っていた。
寒くなるとヒト恋しくなりません?
っていうのが書きたかっただけです。
大きい人にジャケットごと抱きしめられるっていうのは憧れているんですが、
そんな相手はいないので、かわりにハセヲくんにやっていただきました(笑)