文 学 少 年
何気ない瞬間が好きだよ。
「それなぁに?」
「本」
「誰の?」
「俺の」
「亮はたくさん本を持ってるね!」
「…違うだろ」
「え?」
「お前は誰が書いた本か訊きたかったんだろ…って、なんで俺が言ってるんだ」
「ふふ。僕はね、亮が答えてくれることならなんでもいいんだ」
「中身ねぇな」
「それで?誰が書いた本なの?」
「訊いてんじゃねぇか!」
「だって気になるんだもん」
「ついていけねー」
「ねぇ、亮。誰?誰の?」
「くっつくな!…ったく、樋口一葉だよ」
「たけくらべ?」
「もう読んだ。これはうつせみ」
「僕それ知らない…あれ?」
「何だよ」
「この間は、森鴎外。その前は高村光太郎。あれ…?」
「……」
「もしかして、亮。純文学派?」
「うっせーな。いいだろ別に」
「ロマンチストなんだね!」
「お前にだけは言われたくない!!」
自由なきみは不自由な恋に憧れる
亮が読んでる著者の選択は完全に私の趣味です。
亮ってどっちかっていうと理系っぽい。
2008.01.27 UP