報 復
「ん…は…ぁ…」
時刻は真夜中。
誰もいないエルディー・ルーに囁くような甘い吐息が響いている。
大樹に押さえつけられた少年、ハセヲは逃れようと身を捩るが掴まれた腕はびくともしない。
「なんで…っこんなこと…」
臍の辺りを舐めていたそのPCはハセヲを見上げ口元だけ笑ってみせた。
「さぁ…どうしてだと思う?」
それだけいってその男は、摺り下ろされ外気に晒されたハセヲ自身を口に含んだ。
じわりと咥内に広がる蜜の味。
「っや…やだ…!!」
堪らない刺激にハセヲの目に涙が浮かんでくる。
望んでもいない快楽を与えられて喘ぐ自分が悔しくて唇を噛み締める。
けれどそんな抵抗をあざ笑うように男はさらに激しく愛撫を施す。
「あ…だめ…!!!だめぇ…!!!!」
悲鳴のような金切り声を発してハセヲはその男の咥内に欲望を吐き出した。
「……」
漸く開放されたハセヲの身体はずるずると滑り落ち、大樹の根元に座り込んだ。
呆然とするハセヲの頬に涙が伝い落ちる。
「…なんで……」
小さく発したその言葉に男は薄く笑う。
「信頼…してたのに……」
「先に裏切ったのはお前だ……お前を信頼していたのに」
「何言って」
「『あの男』を選んだ時点でお前は俺を裏切ったんだよ、ハセヲ」
「あの、男?」
「惚ける気か?エンデュランスの事だよ」
あ。と小さく声を漏らしハセヲは俯いた。
「これは、報復だ」
冷たく男は言い放つ。
「俺を裏切った、お前への報復だ」
「俺は……あんたの事、そういう意味で…………好きだとは思わない」
ぽつりと零したハセヲを一瞥して、男は笑った。
「解ってたよ、でもな」
ぐいっとハセヲの髪を鷲掴み引き上げると、顕になる絶望したような表情。
「 」
至近距離で見つめるその男の視線に耐え切れず、ハセヲは目を閉じた。
「忘れるな……お前は、俺を裏切ったんだという事を」
少し悲しそうに笑んでから、男はハセヲに背を向けた。
辺りには静寂が再び訪れると、ハセヲの頬に涙が伝う。
誰にも気付かれる事がないように、声を押し殺して泣くその幼い姿を見守っているのは、
静かに揺れている大樹だけだった。
相手は想像にお任せです。
とは言っても碑文使いじゃないと駄目なのでクーンかオーヴァンのどっちかになってしまいますが。
何があっても拒絶する、エン様以外認めないハセヲがポインツです。
2007.07.25