エンハセ。二人が上手く纏まるまでのお話。ハセヲ・亮視点。
T R U T H / O R I J I N / 0
1
真実はどこにある。
正しい答えはどこにある。
いつか。
この心は救われるのだろうか。
ー 本
当
の 始 ま り ー
いつからだろう。他人を信じられなくなったのは。
いつからだろう。心を開けなくなったのは。
『世界』が冷たく感じる。
『世界』ごと暗闇に飲み込まれてしまいそうになる。
ここには、誰もいない。
ここには、何もない。
『居場所』が無いんだ。
いつから…?
どうしてこんな事になった…?
どこで間違えた…?
いつからこんなに『独り』が怖くなったんだろう。
エンデュランスが理解できない。
どうしてあんなに深く他人にのめり込めるんだ。
怖くないのか?
拒絶されるのが。
モンスターの居ない夜のフィールドは静かで虫の音が仄かに鳴り響いていて、俺は何をするでもなく、漂う蛍をぼんやりと見つめていた。
「ハセヲ」
顔を見なくても判るほどに上機嫌な声が背後からかけられた。
振り向くとそこには予想していた通りの人物、エンデュランスが立っていた。
「話って、なぁに?」
エンデュランスは俺の隣に座り込み幸せそうに微笑んだ。
理解ができない。
どうしてそんな顔をするんだ?
俺はお前を裏切るかもしれないのに。
どうしてそんなに俺を信じられるんだ?
「理解できない…」
「え…?」
「どうしてお前はそんなに俺の事を信じるんだ?」
蛍がエンデュランスの髪に止まった。微かに光るそれはーたとえ造り物だとしてもー儚く映っていた。
エンデュランスはそれをそっと捉えて空に放った。
「簡単な事だよ、ハセヲ」
エンデュランスは立ち上がって空に右手を伸ばした。
「この『世界』でボクを必要としてくれたからだよ」
さわさわと風が草木を揺らした。
エンデュランスは伸ばした右手を俺の前に差し出した。
「ほら…蛍だよ」
開いた掌には一匹の蛍が弱々しく光を放っていた。
「言ってくれたよね……ボクが必要だって。この蛍のように死ぬ事を待つしかできなかったボクに生きる光を与えてくれたのはキミなんだよ、ハセヲ」
「俺は、そういうの信じられねえ」
その言葉が真実だという確証なんてどこにもないのに。
誰かを、何かを信じる思いなんて持っているだけ無駄じゃないのか。
けれど次に出たこいつの言葉に俺は少し驚いた。
「…そうだね……。ボクも信じないよ……。でも、キミだけは特別なんだ」
…そうだった。どうして忘れていたんだろう。
こいつは極度の依存症だったんだ。
俺への執着はただの依存。
それ以上のものなんて何にもないんだ。
それだけ、なんだ。
ズキン。
胸が痛い。
心臓が押し潰されそうになる。
どうしてこんなに胸が痛むんだ…?
解らない……。
俺は、まだ答えを見つけられてない。
「覚えておいて。ボクの全てはキミの為にあるんだって事」
手渡された蛍は造り物とは思えない程リアルだった。
Game Over
or
To be Continud...?
はじめてしまいました、長編。
どのくらいの長さになるのかは未定ですが亮・ハセヲ視点で書いていこうと思ってます。
エンハセ小説なのに松が大活躍する予定になっております(笑)