エンハセ。二人が上手く纏まるまでのお話。ハセヲ・亮視点。
T R U T H / O R I J I N / 0
3
『求め』られるのは嫌い。
誰も救うことができない俺に一体何を求めるんだよ。
何も知らないくせに。
わかったような事言ってんじゃねえよ。
『ハセヲ……』
『ハセヲさん』
ああ。同じなんだ。
こいつらも。
そう思うと少し安心した。
同じ闇を抱えてこうも違ってしまうのは環境の違いなんだろうけど、多少なりとも俺だけが不幸じゃなかった事に安堵した。
ー
拒
絶 ー
「ハセヲさん」
俺はこいつが嫌い。
志乃に似ているだけでも許せないのに、志乃とは全く違うことを言いやがる。
「今日は榊さんが…」
おまけにその顔で嫌いな奴の名前を連呼する。
「っも〜聞いてるんですか。ハセヲさん!」
縋るようにアトリは俺の腕を掴んだ。
その目を止めろ。
俺と同じ目。
志乃を見ていた俺の目。
俺に求めるな。
俺は何も持ってないんだ。
何もできないんだ。
その笑顔が憎らしいものに思えた。
気がつけば、アトリの手を振り解いていた。
「…ハセ、ヲ…さん?」
信じられないと言う顔で俺を見つめる。
「お前、ウザイんだよ。空気読めよ」
「…え?」
「俺がウザがってんの解らねーの?」
苛々する。
自分を見ているようで。
「いい気になってんじゃねーよ」
こいつは、アトリは俺なんだ。
「私、いい気になんかなってません。ただ…」
俺の弱い部分をそのまま映す。
「ただ、ハセヲさんともっと仲良くなりたくて…」
鏡のような存在。
「色んなこと聞いたり話したり。そういうの、ハセヲさんとしたかっただけなんです」
ほら、今も。
その言葉は俺が志乃に求めていた事そのもの。
「俺は、お前に応えてやれねえ」
「…え」
ほらな。
やっぱりそれだけが目的だったんだろ。
あからさまにがっかりした顔。
『居場所』のない俺に『居場所』を求めるな。
「ハセヲさんは…強いです」
止めろ。
「いつだって自分を貫き通して」
そんなのはただの虚勢。
「周りから認められていて…」
「止めろよ!!」
空気がビリビリと震えた。
「さっきから聞いてりゃ、勝手に俺の事決め付けやがって…っ」
アトリの目が縋る様に歪む。それ以上は聞きたくないという様に頭を抱えて。
「勘弁してくれ…っ。おれ…っ…俺は…」
「聞きたくない!!」
アトリが叫んだ。
「ハセヲさんはっ、つ、強くなきゃ、いけないんです…っ!」
暗示をかけるように一点を見つめたまま呟く。
「そうです…。ハセヲさんは強いんですよ…強い…」
「俺は、お前を救ってやれねえ」
絶望と蔑みの色がアトリの目に広がる。
「…もう、いいです……」
助けてくれないのなら。
「ハセヲさんなんていらない」
唇が微かにそう動いた。
去っていく後姿は仄暗い影を落としていたけれど、
俺はその事に酷く安堵した。
Game Over
or
To be Continud...?
まやもや短文…。長編にする意味あるのか?と思ってしまう今日この頃。
ところでアトリファンの方には大変申し訳ないのですが私彼女が大っ嫌いです。
でもハセヲと同じ痛みを知ってるアトリとハセヲの関わりはかなり深くしたい私。
ハセとエン様とアトリは同じ…って勝手に思ってます。